大学の授業で学生に吉村順三さんの「軽井沢の山荘」の模型を作る課題をだして、ふと月ビルとこの山荘は似ている点がいくつかあるな、と感じました。
地上階を小さく絞って、2階を大きく張り出し、周辺環境からポケットのようなくぼんだスペースを設けていること。
そして下部がRC、最上階が木造という構造の組み合わせ。空間的にもコンクリートの空間の上に木で包まれるような空間が乗っている。
1階からは地続きの周辺環境を眺めることができ、上階はもっと空に近い1階とは全く異なる景色を眺めることができる。
藤森さんの本には以下のように書かれています。
「一階の打放し部分はギュッと絞られ、階高が遠目で見るよりずっとある。写真で見慣れた姿だが、目前にするとまことに印象深い。
強い印象に惹かれて近づき、木造のテラスに上り、置いてあった椅子に腰を下ろし、外の景色を眺める。気分が晴れる。背と頭上に打放しのしっかりした面を感じ、それに守られながら、視界いっぱいに広がる解放感を安心して楽しむことができる。囲われた空間にも、野外に露出した場にもない心地よさ。」
p.157、藤森照信、「藤森照信の原・現代住宅再見」、TOTO出版、2002年
もちろん、周辺の環境が月ビルと山荘では全くちがうけれども、1階のセットバックした空間でゆったりとくつろいで街を眺めるのも良いのではないでしょうか。
因みに建築関係者には非常に有名なこの山荘の断面スケッチがこちら。
森の中に小さく作られたこの山荘の佇まいと、街中にこぢんまりと立つ月ビルの佇まいはスケールが違うものの似通っているように感じます。
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