Wednesday, December 15, 2010

構造家Sさんと構造打合せ

12月14日。前日の市役所訪問、仕事、T先輩との打合せという連続に少し疲れてしまい、朝は寝坊する。昼前に家を出て、駅に行くと人身事故で電車が不通になっている。昼ごはんを下高井戸で食べようと考えて早めに家を出たのが良かった。待ち合わせの時間になんとかちょうど到着。T先輩に駅のパン屋さんで落ちあって世田谷線に乗り、三軒茶屋へ。
構造家のSさんの事務所は自宅と併設されていて、当然のことながら建築家による設計、ご自身による構造設計だそうで、広々とした前庭の奥にすっきりシンプルな二層の箱状の建物が建っている。
建物に向かって左側の一角が事務所になっていて、吹き抜けの空間に後から作りたしたというロフトが付いている。スタッフは4名。女性二名、男性二名いて忙しそうに働いている。若くて個人でやっている構造設計事務所ということだったので、思ったよりもスタッフの数がいるのでちょっと驚く。Sさんは僕よりも少し年長のようで、以前は佐々木睦朗さんの事務所で働かれていたらしい。

早速打合せ開始。まずはT先輩がプランをざっと説明する。1階からどのような構成になっていて、2世帯住居であることや、家族構成にいたるまで、そして現時点で一応想定している構造壁の位置、厚みなどをざっと話す。

続いてSさんが、間口方向の壁量が足りないことを指摘され、どの部分が構造壁として使えそうかということを図面に描き込みながら、相談していく。エレベーターシャフトの壁は、シャフト自体が空洞なのであんまり構造壁としては効いてこないとか、しかしながら庇をつけてスラブとつなげてあげると構造としても効いてくるとか。

今回のプランで考えるとすると、「壁式構造」となるらしい。耐震壁付きラーメン構造という形式もあり得るらしい。その場合、柱の厚みを300ミリ×450ミリくらいとり、壁はそのかわり150ミリ程度で済ませられるというやり方もあるとのこと。しかし驚いたことに、現時点の設計では250ミリを想定していた両側の構造壁は厚みが180ミリくらいで足りるらしい。これに仕上げや断熱の厚みが加わってくるけれども、思っていたよりも大分薄い。そのかわりと言ってはなんだが、間口方向の耐震壁の厚みは250ミリくらい欲しいらしい。これは結構設計に影響してきそうな厚みだ。そして壁は連続して900ミリの延長が欲しいとのこと。階高との関係から決まるのだろう。キッチンの勝手口的な開口部などは無くしてしまわないとならないかもしれない。

間口の開口部部分には梁が欲しいけれども、逆梁の扁平梁にしてじゃまにならないようにするという手段も教えてくださる。

最上階の切妻状になっている屋根に関しては、学会の指針だと、梁が欲しいし壁式だと厳しいかもしれないという話だったけれどもなんとか解決出来るかもしれないとかなんとか、、、その部分だけ鉄骨造にするもの予算は少し余計にかかるけれども、良いかもしれないとのお話だった。最上階の屋根部分だけ鉄骨造ということならば、構造適合性判定は必要ないのだそうだ。

床厚は、最低なら150ミリから170ミリ程度。分譲マンションだと200ミリから、音を気にする場合250ミリ程度。上下階、家族間の音の感じ方次第で決めれば良いとのこと。

地盤については、Sさんが事前に地盤調査会社から近隣データを入手していてくださって、2メートル程度の深さで良好な地盤面に到達するらしい。この場合、地盤調査はおよそ20万円程度。地盤改良にかかる費用は150万円程度との試算もしてくださる。後日、見積もりを取ってくれるとのこと。

基礎の形式に関しては、ピットを作る形式と、地盤改良を行う方法と両方があり得るけれども、コストはほとんど変わらないらしい。メリット・デメリットもあんまり無いらしく、地盤改良が順当じゃないですか、と仰っている。

細かい仕様に関わる点では、テラスの緑化はどの程度考えているのか(土の深さ)、バルコニーの防水の方法、お風呂場は在来式にするかユニットにするか、など荷重に関わる点を聞かれる。防水が可能なタケイというブランドのコンクリートについても話題になる。コンプラストというブランドもあるらしい、ということも話題にのぼる。

最後にスケジュールの話をして、道路拡幅の補償金の交渉に必要なので概算見積だけ急いで必要なのだという事を説明し、実際の工事、竣工予定は2年後であることを話す。Sさんいわく、建築はスパンが長いですね、とのこと。たしかに竣工予定までに3回もクリスマスが来るのだ。

帰る前にSさんの自宅兼事務所の写真をノートパソコンで見せてもらい、外に出て、外周を見せて頂く。とにかく敷地が広いなぁ。木造の建築なのだが、コーナーの柱は鉄骨のアングルの非常に細い部材で作られていて、すっきりしている。

たっぷり2時間半打合せをして帰途につく。帰宅すると5時半ごろ。ぐったり疲れる。しかしとても良い勉強になった。刺激的な時間だったと思う。

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